藝大入試論考 建築科

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【立】立体構成のはなし

芸大建築科入試対策「立体構成」のはなし 総合表現に関係ないの? なんの意味があるの? その構造を理解しよう!

 

立体構成は如何にして総合表現・空間構成につながるのか───────

 
 
数年前まで導入されていた種目、「立体構成」
今はもう紙の上に想像する入試に変わったが、今でもこの立体構成をさせる予備校は存在する。
夏期講習直前、カリキュラムに組まれていることも多いであろう立体構成のはなしをしよう。
 


立体構成の他種目との決定的な違いは、まずデッサンではなく立体を作ることであるのは君たちも旧知の事実。
でも「本試ではデッサンなのに、工作して立体を作るのは全く違うことじゃない?」と思う受験生も多いのではなかろうか。
 
総合表現は重力なんて関係ないし、のりしろを綺麗に貼り合わせることもない。
 
 
だが表層だけを見て判断してはならない。建築を目指すならばそのものの構造を理解するのだ。
 
 
 
立体構成には厳しい条件がある。
 
「建たせること」
 
世の受験生は授業で何度か立体が「建たなかった」こともあるだろう。
 
他にも、「使える材料」「作り得る形」「重力」「作業時間」
 
課題文に書かれた「お題」に答えるだけでなくこれらの現実的制約が設けられている。
 
 
一方で総合表現は?
 
最近の入試では使う構成物を決められていることが多く、操作すらも指定される。それをただ心の赴くまま自由に作ればいいのではなく、テーマに沿って構成を考え、文章を書き、大きな絵も描ききらねばならない。
 
確かに「重力」がないことは大きな違いだろうけれど、「制約」の中で「答える」ことに違いはないし、もちろん立体構成をこなす中で見るべき“観点”は昔の時代と変わってて良い。
 
 
作った作品に現れる空間感や立体感、エスキス帳に描かれた線が立体として机の上に起こされること、エスキスで出た形の作り方、そして重力がもたらし得る立体の構造感────
 
 
 
君たちを悩ませる「重力」は「物の構造」を考えさせる。
 
 
 
「構造感」は絵でも同じ。
将来建築を扱う君たちにとって例え絵の中だとしても、扱うものは「立体」。
その構成に「構造感」が無ければ単なる幻の夢。
 
この「構造感」こそが、“お絵かき”を超えた説得力ある建築的空間的“表現”へと進化させる。
 
 
立体を構成するように絵を描くこと。
絵を描くように立体を構成すること。
鍛え上げられた「構造感」そして「構築力」が空想の世界をよりリアリティある絵に仕上げ、完成度は高まり、表現力に磨きをかける。
 
 
 
(フルーシ)